田園への憧れと、消えるつくばの伝統的集落   

田園に棲み始めた新人類

都市生活者の3分の1が農村くらしに関心をもっています。農林水産省の行ったアンケート調査の結果によると、都市に住む32パーセントの人が医療、福祉などの条件さえそろえば農村に定住したいと答えています。

味気なく区画整理された土地ではなく、自然と伝統のある集落の中で生活をしたい、また蔵や古民家をオフィスやギャラリーとして利用したい等の需要がここ数年、顕在化しています。

いまどきの田舎くらし

いま、田舎暮らしの可能性が見直されています。情報ネットワークの整備と技術の進歩により、距離と時間の関係が変わりつつあります。今や情報を手に入れるのに都会と田舎のハンデは全くなくなりました。そればかりか田舎ではゆったりとしたスペースが手に入ります。

都市の便利さと田舎の風情

つくばの集落は学園都市の近代的都市の利便性と今だ昔ながらの里山の自然を併せ持っています。まもなく常磐新線が開通すれば都心まで70分で結ばれ、ますます便利になります。

減少する既存集落

しかしその一方で、無計画な開発により、「ぶっぺい」のバランスが崩れ、田園風景の情緒もなくなり、資産価値が減少しています。同時に里山の身近な生きものたちが数を減らしてしまう危険性にさらされています。かつては人家のすぐ近くで聞くことができたフクロウの鳴声も今ではすっかり聞こえなくなりました。

また、後継者が無く、空家となった民家が集落の中に点在し、集落自体の活力が失われつつあるという問題も増えています。

田園には田園のまちづくり

住人のいなくなった古民家と敷地、帰化植物の雑草が生い茂る休耕田、不法投棄のゴミで溢れる放置林、これらは今はその価値に気付かずに見捨てられていますが、これらは田園の貴重な宝物です。このことに気付かずこれらを壊し、全く新しいものに造り変えてしまう従来型の開発はせっかくの価値を捨て去る、非常にもったいない行為です。

これからはこれら田園の資産を生かす計画が必要です。そのためにはその土地の歴史、風土に敬意を表し、さらに木材、石材などの地域の材料を用い、地域の技術を使うことで、まちづくりや家づくりだけでなく、人づくり、自然や産業の保護にも繋げていくことが重要です。

写真、文:時空遊園

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         このページはつくば田園生活研究会が製作しています